対談

2023.02.19

対談:小森たくお×村山 卓「これからの金沢について」

金沢市長の村山卓氏と語り合いました。

小森:本日、対談させていただくのは、金沢市長の村山卓さんです。よろしくお願いします。

村山:よろしくお願いします。

村山:小森先生とは県庁時代に何度か会っていた可能性が高いのですが、しっかりと話をしたのは小森先生の当選後1ヶ月ぐらい経ってからだったと思います。第一印象としては細かく地元の事情のことをじっと聞いていただけた印象です。

小森:村山市長の第一印象は当時、副市長で、市の行政をきちんと考えられていて、とても真面目だけど肩に力が入りすぎておらず、好印象でした。現在は市長になられて約1年間(注:2023年2月)経過しましたが、どのような感想をお持ちですか?

村山:怒涛の1年間でした。以前の役人の立場だと、どこにいても上司がいました。それをいかに効果が上がるように遂行していくかということを立案し、説明して回るというのが仕事でした。政治家になると、そこが課題の発見や、政策のアイディアの第一歩のようなところは自分が出していくという立場になったことが大きく変わりました。これまでの役人をしてきた立場がある中で思考ができるということは、おそらく小森先生にとっても大きなプラスであり、個性にもなっているのではないかと思います。だからこそ、その解決手段という行き先も大体見えてきますし、課題に対して向き合うことができると思います。

小森:公務員だと自分のカラーというのをなるべく出さずにいても世の中がうまく回っていく場面が多く、私も自分の色を出さずに仕事をしていました。政治家の場合だと、そうは言っていられない。それが100%正しいことかどうかはわからないけれども、自分が信じていること、自分が良いと信じていることはこうなのだということも市民の方たちに伝えていかないと、なかなか心をいただくことができない、そういう仕事ですね。
役所や政府というのは本当に大きな組織です。例えば、私が退官するときに金融庁の総合政策課長というポジションをやっており、金融庁全体を考える大きな仕事です。しかし、それでも政府全体でやっていることからすると一部分でしかない。他の行政分野にも関心や興味はあるけれども、そこには口を出してはいけない、というのがルールです。それが、今の政治家の立場、特に小選挙区の場合だと、全部を背負わなければならない。政府全体でやっていることについて、それぞれ少なくとも自分の中で一定の答えを持っている必要がある。そうでなければ、それぞれの政策分野に関心をお持ちの有権者の方たちもいらっしゃるので、その方たちの声や考えに応えたことにならない。そのため、全体を考えなければならない。全体を考えられるというのはすごくありがたいことです。

村山市長は、副市長から市長という連続性のあるキャリアを積んでおられ、金沢市長として信頼できる舵取りをされるのだろうと思っています。また、政治家村山卓として大きなビジョンもいずれ打ち出していただきたいと期待しています。そのあたり、いかがでしょう。

村山:10年後の金沢を見据えた長期のビジョンを(2023)年内に作っていきます。その中でめざす姿の一つは生産年齢人口の拡大です。有効求人倍率が非常に高くなっており、働き手不足が懸念されます。移住者や関係人口を増やしていく策を講じなければならないと思っています。また、中山間地域の過疎化に対しても、都市部を持つ金沢なりの解決の仕方や学生や若い世代がたくさんいる中での活かし方も政策として考えていきます。また、来年度からは金沢の持つ強みである文化を活かし施策として中学1年生全員が石川県立音楽堂で、オーケストラ・アンサンブル金沢(以下OEK)のコンサートを鑑賞するという事業を新たに始めます。こどもが金沢市ならではの良さを体感することで、成長して市外に出た後も、金沢に戻りたいという気持ちになってもらいたいと思っています。

小森:これからますます深刻になる人口減少について取り組む姿勢が素晴らしいと思います。また、OEKの話など金沢の持つ文化の魅力を通じて、人口増に繋げていくという構想も秀逸ですね。

村山:もう一つは公共交通についてです。今、公共交通が疲弊をしているという中で、まず今現在の支援となる策が直近の課題になります。長期的には検討を重ねていますが、新しい交通を敷くためにはそれによる効果を見える化していかなければ難しい課題だと思っています。

小森:便利な公共交通ができると、街の発展も変わってくる気がします。また、20年30年先に向けて、住む人も今よりもさらに増えることを期待しています。

村山ありがとうございます。小森先生は、今、金沢市に必要なものは何だと思われますか。

小森:金沢市は本当に独特でユニークな都市だと思います。色々なものを大事にしていて、しかも新しいものを取り入れていて、ほかの都市が真似しようとしてもまずできないと思います。加えて、コンベンションの受け皿など、伸びしろを秘めている分野がたくさんあり、市長にはそれらを花開かせて欲しいですね。国政や私に期待することはありますか?

村山:小森先生や国に期待している一つ目が安全保障です。安全保障は我々からでは何もできないところであるので、しっかりと予算の確保も含め、頑張っていただきたいです。

二つ目がこども政策です。例えば、医療費や給食費については自治体間のチキンレースになってきていて、非常に大きな問題だと思っています。医療費については、幼児期の方の無償化は既に実施しており、今後、高校生の入院費の無償化までやっていくのですが、これをやることで小児医療がかなり厳しくなっていきます。また、それ以外の医療費も高騰していくだろうという課題があります。無償化することでモラルハザードが起き、医者に行けば薬がただでもらえるという状況になってしまっています。それを今度大学卒までやるかについて、全国統一の基準ができてくれるとありがたいと思います。こども政策としては一番ネックになっているのは大学の入学金と授業料だと思います。大きな改革をこども家庭庁でやっていただければ、少子化にも一定の歯止めになる、子供を産むことが期待される世代がこれから減少していくことに対して一定の歯止めになると思っているので期待しています。例えば、自治体による医療費優遇の基準作りや大学の入学金・授業料の減免など大胆な改革を期待しています。

三つ目は、今までもご協力いただいていましたが、公共事業の確保については、これからもご協力をお願いいたします。

小森:そうですね。安全保障の大転換の次にとるべき政策は、子育て政策であり、今年(注:2023年)は一生懸命取り組みます。6月の骨太の方針に入れるよう、与党の一員としてしっかり議論していきます。更に、もう少し大きな話になりますが、若い方を中心とした皆さんが一番ご心配されているのは、雇用の安定や賃金などです。若い世代の皆さんが子供を作ってもしっかりと生活していける、あるいはもう1人増やしてもやっていけるという、そういう自信や確信を持っていただける経済や社会のあり方を作っていかなければならないと思っています。世論調査などでも、児童手当の増加よりも、むしろ賃金アップを期待するご意見が多いので、それをどう政策に落とし込んでいけるかというのは課題です。また、国の予算をぜひ地元金沢にきちんと使ってもらえるように、引き続き全力で取り組んでいきます。

本日はありがとうございました。

2023年2月19日対談

村山 卓むらやま たかし

金沢市長
慶應義塾大学総合政策学部卒。自治省(現総務省)に入省し、総務省自治財政局公営企業課理事官などを歴任。2019年4月から2022年2月まで金沢市副市長を務め、2022年3月から現職に就任。母は金沢市生まれ、祖父母は小松市出身と石川県にルーツを持つ。

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